到着した当日の観劇はこれと決めていました。
ちょうど1年前、想定外に3夜連続で観劇してしまった作品。
それだけ気に入った作品を、1年ぶりに新キャストで観るわけで。それはもう期待と不安が交差します。
ヘンリーとドクター以外、つまりダイアナの一家はすべて変わってしまってからの再見です。
まずGabeはKyle Deen Massey。Aaronの時のUSのひとりですね。
Gabeについては、とにかく初めて観るつもりで(Aaronと比較せずに)観ようと自分に言い聞かせておきました。
その甲斐あってか、なかなか良かったと思えました。
「I'm Alive」はそれなりに歌声も動きもきびきびしてたと思います。ラストの「I'm Alive~」の最後はキーを上げて歌っていてなかなか新鮮でした。
ただ、2幕のリプライズの方はいただけません。もっと切羽詰り感が欲しかった。
オリジナルと同じように一本調子で歌われてしまってはリプライズの意味がないじゃないですか。。
あとはやっぱりラストの「I am the One」のリプライズ。
これもAaronと比べるといまいち(だから比べるなって)
母に出て行かれた寂しさを、あれほど敵対視していたDanにぶつける歌声としてはちょっと物足りないです。
たとえば「I am the one who watched・・・」の「watched」の強調とか。
「I tried pretending that I don't・・・」の「pretending」の吐き出すような震えとか。
なんだか小姑みたいですみません。でも全体的にはまあまあ良かったと思います。
それからNatalieも悪く無かったです。新Natalie、雰囲気がJenniferに似てるかも。
でもjenniferとはまた全然違ったNatalieでしたね。Jenniferほどピリピリ尖った感じではなかったです。
そしてJenniのNatalieからは、その反発的な態度とは裏腹に心の奥底では母親の愛情を恋しく思っている事が伝わってきたけど、新Natalieは、どちらかというとすでに諦めている感じ。その分、ヘンリーへの依存度が最初の頃から高かったような気がします。
たとえば「Superboy and the Invisible girl」の時、ダイアナに「I love you as much as I can...」と言われてしまった時、Jenniferは確か絶望を滲ませてダイアナを見つめ返していたと記憶しているんだけど、新Natalieは瞬時にヘンリーの方へ振り返ってすがるように彼を見つめていました。
あと、ダイアナの診断中にドクターから「次回はNatalieをつれて来て」みたいな事を言われ時の「She’s not there!」の歌い方がJenniferは客席に向かってまさに絶叫、という感じだったのに対して新Natalieはやっぱりヘンリーの方に駆け寄ってすがるように歌うのが印象的でした。こういう解釈の違いがわかる変化は面白いです。どっちもありだと思います。
そしてDiana・Dan夫妻。
ごめんなさい、どうしても受け付けられなかった・・・(涙)
Aliceの演じたDianaを描写できるほど詳しくは覚えてないんだけど、精神疾患があるとはいえあくまでも「Next to Normal」な状態であって完全にいっちゃっている人ではなかったですよね。
もしくは完全にいってしまっている状態の時でも(「Didn't I see this movie?」とか)可愛らしさがあったと思うんだけど。
こう書くと新Dianaはいかにも可愛くないかのようなんですけど・・・早い話がそんな感じです(汗)
最初のサンドイッチの場面でも、とにかく演技が大げさ。客席までパンを飛ばしたり・・・なんか「狙ってるっぽさ」がちょっと・・・
そして、いちいち全力で歌いすぎ。
けっこう歌える人なんですよね。たぶんAliceよりも歌唱力はあると思います。
たとえば「I miss the mountains」 朗々と歌い上げてくれましたよ。拍手も大きかった!
でも、あれって歌唱力を誇示するための場面ではないですよね。
終始この調子で「So anyway」や「Light」のソロパートまで、いやまぁ~力強く歌い上げること。
でも、やっぱりそれって違うでしょう。
帰ってきてからひさしぶりにCDを聞いちゃいました。
今思うと、Aliceの歌声って、まさにDianaそのものだったんだなぁ・・・。
あの不安定さとかやたら不規則なビブラートにDianaの苦悩や迷いが乗せられていたんですね。
夫であるDan。新Dan氏も微妙・・・
Bobbyほどルックスや歌声に個性がないし、キャラクターもいまいちつかみにくい。
BobbyのDanには「これまでずっと妻を支えてきた」という自負があって、その自信の強さがECT(電気ショック療法)を施すという苦渋の決断をも「やむを得ないものだ」と納得させる根拠になりえたと思うのだけど。
新・夫妻の間にはその重みがないんですよね。なんとなくなりゆきでやってしまったというような・・・
あと彼の歌い方もやっぱり勘違い系(言いすぎ・・・?)
「I’ve been」とか、変にリキまないで歌ってほしい。
ダイアナが手首を切ってしまった後の掃除をしながら歌われるという壮絶な状況なんだけど、だからこそBobbyのように切々と、むしろ淡々と歌ってこそ「これがこの夫婦の日常なのか」という深刻さが痛いほど伝わるのに。
結果として、そんな夫婦だから最後の別れも少しも辛そうではなく。
力いっぱい歌って去っていく妻。それをなんとなく見送る夫。そんな感じ(苦笑)
あ~、やっぱりダメだぁ!
キャストが変わっても作品自体は大好きなのでちゃんとリピート枠も用意してあったんですよ。
でもとてもそんな気持ちになれなかった・・・残念です。
こうなるとAliceが出演するツアー版、観てみたくなります。
もう一度だけでもいいから、ちゃんとしたN2Nを観たいです。