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観劇・旅行・日々のこと


by nao201009
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Thrill me

2005年のOff‐Broadway作品。アトリエフォンテーヌにて。
出っ張った柱の前にもギッチギチにパイプ椅子を詰め込んで100席くらい?オフっぽ~い!

松下&柿澤コンビで観ました。
ストーリーも演出もこれといった斬新さはなく役者の力量が試される舞台。しかも100分出ずっぱり。
息苦しいほどの緊張感が充満する100分間。
ふたりとも初めて観る役者さんで、なんの先入観もなく「私」と「彼」の世界に引き込まれて行きました。

あの密閉された空間で、その一挙一動どころか、それぞれのひと呼吸までに観客が一体となって集中する緊張感がビシビシ!
そして、その閉塞感によって「この世に意味をもって存在するのは『私』と『彼』のふたりだけ」という不条理が成立してしまう。
(無差別殺人ってこんな風に起こるんだろうな…と妙に納得してしまった事にゾッ…)

~ネタばれあります~

おふたりの演技も本当に見応えありました。
柿澤さん、まるで蝋人形のような無機質な美しさ。サディスティックなキャラがはまってます。
誘拐する子どもを物色する場面なんて本気で怖かった。目があったらどうしようかと…。
反面、追い詰められていく過程で見せる小心ぶりや、死刑を免れた安堵感から「あんな弁護士になりたかった」なんて言い出す俗っぽさとか。
「人間臭さ」というよりは「幼さ」が露呈するアンバランスな魅力はリアルな若さゆえでしょうか。それだけにラストの立ち姿が切なかったなぁ。

松下さんもよかった。しかし難役ですよねー「私」は。
善悪も生死も超越するほどの「彼」への執着。ヘタすると「愛憎モノ」としての印象が強い作品になってしまう。
松下さんの無垢っぽさでビジュアル的にも救われるし(なかなかな絡みシーンが…)作品的にも深みが増している感じ。もう一組の「私」が万里生さんというのも納得。

それにしてもこの作品、すでに来年は銀河劇場での再演が決まっているという事だけど。
や~、これはハコが命な気がするな~。最大の演出効果はあの閉塞感だと思うのです。
かといってこのキャパ(100席程度)ではチケット取れないでしょうねぇ…。
客が入る限り上演され続けるロングラン形式、こういう作品だとぜひ実現してほしいものです。
by nao201009 | 2011-09-26 01:07 | 観劇記録(国内)